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Excel・Googleフォームでの
管理が限界になってきたら

申込はGoogleフォーム、集計はスプレッドシート、名簿はExcel、連絡はLINE。 動いてはいるけれど、転記と突き合わせに毎月まとまった時間が消えている。 その状態が「限界」なのか、まだ工夫で持つのかを判断するための材料を整理しました。

先に書いておきます。ExcelとGoogleフォームは優れた道具です。 無料か安価で、誰でも触れて、壊れても自分で直せる。 多くの組織にとって、これ以上の選択肢はありません。

問題は道具そのものではなく、本来1つであるべきデータが複数の場所に分かれてしまうことです。 そこさえ直れば、Excelのまま続けられる場合が少なくありません。

限界のサイン

「なんとなく大変」ではなく、次のような具体的な症状が出ているかで判断できます。

  • 同じ情報を2回以上入力している。フォームの回答をExcelに転記する、名簿と請求表の両方に住所を書く。転記が発生している時点で、必ずどこかがズレます
  • 「最新版どれ?」が発生する。ファイル名に日付や「_最終」「_修正版」が付き始めたら、すでに限界の入口です
  • 特定の1人しか触れないシートがある。複雑な数式やマクロが入っていて、作った本人以外が開けない。その人が休むと業務が止まります
  • 過去の状態が分からない。「先月時点で何人いたか」「この人はいつ辞めたか」が答えられない。上書きし続けるExcelには履歴が残りません
  • 集計のたびに手作業が発生する。毎月同じ加工をしていて、それが30分以上かかっている
  • 同じ人が複数行に存在する。表記ゆれ(スペースの有無、旧姓、法人名の株式会社の位置)で名寄せができていない
  • 誰が何を見られるかを制御できない。全員が全部見えるか、共有しないかの二択になっている

2つ以下なら、まだExcelの改善で戻せます。 5つ以上当てはまるなら、道具を変えることを検討する段階です。

Googleフォーム特有の詰まり方

フォーム側にも、使い込むと必ずぶつかる制約があります。 知っておくと「自分のやり方が悪いのか」と悩まずに済みます。

  • 回答者が後から自分で修正できない。設定で編集リンクを出すことはできますが、運用に乗せるのは現実的でないことが多く、結局「変更届フォーム」を別に作ることになります
  • 定員管理ができない。満員になっても受け付け続けるので、締切の管理は人が見張ることになります
  • 自動返信の内容を作り込みにくい。回答内容に応じて文面を変える、といったことをしようとすると、別の仕組みが必要になります
  • フォームを編集すると列がずれる。質問を足したり並べ替えたりすると、連携先のスプレッドシートの列構成が変わり、参照していた数式が壊れます
  • 重複申込を防げない。同じ人が2回送っても、そのまま2行になります

これらはGASなどで補えますが、補えば補うほど「作った人しか分からない仕組み」に近づきます。 限界のサインの3番目に自分で近づいていくことになるので、注意が必要です。

まず、Excelのまま直せること

移行の前に試す価値があります。これで解決するなら、それが一番安くて速い。

1シートに1つの表だけを置く

1枚のシートに複数の表を並べたり、見出しを結合セルにしたり、途中に空行を入れたりすると、 集計も抽出もできなくなります。1行目が見出し、2行目以降がデータ、それだけ。 見た目の整形をしたいなら、集計用のシートを別に作ります。

台帳は1つに決める

名簿・請求・出欠が別ファイルにあるなら、「人の情報はこのファイルが正」と決めて、 他は参照で持ってくる形にします。 これだけで転記が消え、ズレの大半がなくなります。

入力規則で表記ゆれを止める

教室名・コース名・区分といった項目は、自由入力をやめてプルダウンにします。 名寄せができない原因のほとんどは、ここで防げます。

削除せず、状態の列を持つ

退会した人の行を消すと履歴が消えます。 「在籍/休会/退会」の列と、その日付の列を持たせて、行は残してください。 「先月時点で何人いたか」に答えられるようになります。

それでも限界なら

選択肢は3つあります。上から順に検討するのが安全です。

1. 既製のサービスを使う

まずこれを検討してください。 業務が標準的なら、月数千円〜数万円で今日から使えます。 自分たちで作るより、安く、速く、安全です。

判断の基準はひとつです。自分たちの一番ややこしいルールが、そのサービスで表現できるか。 デモの段階で、実際の画面で見せてもらってください。「できます」という言葉ではなく、画面で確認することです。

2. ノーコードツールで組む

既製サービスに合うものがないが、業務がそれほど複雑でもない場合の選択肢です。 自由度は上がりますが、作り込むほど「作った人しか分からない」問題が再発します。 誰が引き継ぐのかを決めてから始めてください。

3. 自分たちに合わせて作る(内製化)

既製サービスでは表現できない独自ルールがあり、その運用を変えたくない場合の選択肢です。 AI開発ツールが実用になったことで、以前より費用が下がっています。

向いている場合

  • 料金や在籍の考え方に独自ルールがあり、既製品に合わせると運用が壊れる
  • 複数の業務(申込・名簿・請求・出欠)が繋がっていないことが、そもそもの問題になっている
  • 月額固定費を長期的に減らしたい

向いていない場合

  • いまの業務が標準的で、既製サービスで足りる
  • 社内に、自分たちの業務を言葉で説明できる人がいない
  • すぐに使い始めたい

どの道を選んでも、先にやっておくこと

  • いま使っているファイルを全部並べる。何が何本あるのかを把握しないと、移行先も選べません。たいてい想像より多く出てきます
  • 「この項目は本当に使っているか」を1つずつ判定する。何年も空欄のままの列が必ずあります。移行の対象を減らせます
  • 表記ゆれを先に直す。移行してから直すより、Excelの状態で直す方が圧倒的に楽です
  • 一番時間を食っている作業を1つ特定する。そこだけを解決する形から始めれば、失敗しても損失が小さくて済みます

Excelから移るべきかどうかの分かれ目は、データ量ではありません。 何人分あるかではなく、同じ情報が何か所にあるかです。

1か所で足りているなら、会員が何百人いてもExcelで回ります。 3か所に分かれているなら、30人でも毎月転記に追われます。

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